働く者が満足しても、仕事が生産的に行なわれなければ失敗である。逆に、仕事が生産的に行なわれても、人が生き生きと働けなければ失敗である。 (マネジメント エッセンシャル版/P.F.ドラッカー)
企業活動を考えた場合、結果(利益)を重視するのか、過程(プロセス)や(職場)環境を重視するのかと言う話になりがちですが、ドラッカーは両立していなければ、どちらが不足しても失敗であると言っています。
私もそう思います。
収益を上げなければ、そもそも組織(会社)が維持できず、福利厚生などを充実させることは出来ません。
当然、社会への貢献も絵に描いた餅で終わってしまいます。
かといって、収益第一主義では必ずどこかに歪みが発生します。
そして大抵の場合、その歪みは従業員や顧客あるいは取引先に転化されます。
従業員や顧客に転化すれば、短期的には収益を上げることが出来ても、組織(会社)を維持していくことは難しいでしょう。
いずれ、従業員の士気が低下して内部から組織が崩れるか、取引先や顧客からの支持を失って市場から退場せざるを得なくなります。
しかし、従業員満足度のためにコストを掛けすぎることは、これもまた組織(会社)の存続を危うくすることになります。
特に中小零細企業では、給与や福利厚生など従業員に還元できる資本には限度があります。
そのバランスを差配するのが経営者や上級マネージャの役割ですが、もともとの資本が潤沢でない以上やはり限度があります。
ならば、何を以って従業員のモチベーションを引き出すのか。
ドラッカー的には、仕事とは「人が働くことによって得られる結果」であり、労働とは「人の活動(プロセス)そのもの」だと述べています。
そして、人と労働の関係について
- 求める結果(仕事)が同じでも、働くリズムやスピード、持続力は人によって異なる。結果を得るための方法も複数存在する。
- 人は働くことで何かを成し遂げようとする自己実現の手段である。
- 人は働くことで社会との係わりを持つ。
- 労働は生計を支えると同時に、社会の経済活動の基盤となる。
と言っています。
この辺りがヒントになるのは確かですが、具体的にどう活動していくべきなのか、経営者の眠れない夜は続いていくことになりそうです。